電位について
前回は電界について学習しましたが、今回は電位という言葉を学習していきましょう。電位とは、+1[C]の電荷が持つ位置エネルギーの事です。よく似た言葉ですが、電界はベクトル値であるのに対し、電位はエネルギーなのでスカラー値です。向きは関係ありませんのでご注意ください。電界の合計を求める時は、ベクトル図を書いて縦横成分を合成して求めますが、電位はそのまま足し合わせるだけでOKです。このあたりをついてくる問題も多いので、しっかり理解しておきましょう。
それでは本題の電位をどのように求めるのか見ていきましょう。まずは、電位と大きく関係している静電力による位置エネルギーを求める式についてご説明します。力学的な重力による位置エネルギーと考え方は同じです。ただし、重力は必ず下方向に力が発生しますが、静電力は上が基準で下から上に電界の力が働いている事も考えられますのでご注意ください。それでは、静電力による位置エネルギーを求めていきましょう。

(図1) 静電力による位置エネルギー
今回は重力と同じ上から下への電界でしたから、イメージしやすかったのではないでしょうか。
ここで、冒頭で記載した電位の定義をもう一度振り返ってみてください。電位は+1[C]の電荷が持つ位置エネルギーの事でした。つまり、(図1)のQに+1を代入すれば、電位が求められます。
よって下記の式が求められます。重要な式なので、覚えるとともに、導き出せるようにもしておいてください。
$$V=Ed$$
この式と(図1)の式を組み合わせると、
$$U=QV$$
このようにも変形する事が出来ます。
クーロンの法則の式から静電力、そこからQ1=1を代入して電界の強さ、さらにそこから距離をかけると電位が求められます。このあたりの意味を理解しないと応用問題に歯が立ちません。電験3種は応用力を問われる問題が多いのです。基礎は大切です。