これまで何度か説明してきましたが、自然界では「変化を嫌う」という根本的な性質があり、現状の状態をなるべく保とうとする力が働きます。速いスピードで走っている車はピタッと急に止まることはできません。慣性の法則により進行方向へ幾分か移動してしまいます。自然界ではこのように急激に変化することを望みません。ここで考える電磁誘導もその一例と言えます。磁束が少なくなると、電流を流して減った磁束を補おうとします。これが「電磁誘導」です。
電磁誘導とは
コイルに磁石を近づけたり離したりすると、コイルに電流が流れます。これは、磁界が変化したことを自然界が嫌い、打ち消す向きの磁界を作り出すため、電流が流れたのです。この電流のことを「誘導電流」と呼びます。磁石を近づけたり離したりする一瞬だけしか流れないので注意してください。打ち消す向きの磁界を作るということは、磁石を近づけた場合と離す場合とでは誘導電流が流れる向きも逆になるということも理解しやすいかと思います。こういった打ち消す磁界を発生させるルールを「レンツの法則」と呼びます。N極が近づけばそれを拒否するように磁界が働きますが、逆に離れる方向になると今度は引きつけようとします。S極はその逆です。なんというか、ワガママです。
ファラデーの電磁誘導の法則
先ほどお話をしたレンツの法則により、磁界の変化によって流れる電流の向きを学習しました。今度はその起電力(誘導起電力)の大きさを求める「ファラデーの電磁誘導の法則」をご紹介します。
ファラデーの電磁誘導の法則
$$e=-\frac{ΔΦ}{Δt} [V]$$
Δ(デルタ)は「差」や「変化量」を表す記号と認識してください。電磁誘導により発生する誘導起電力は、時間あたりに変化する磁界の量で表す事ができるという事になります。誘導起電力を大きくするためには、より強く磁束を変化させるか、もしくは変化する時間を短くする必要があるという事になります。先ほどの例で挙げた磁石をコイルに近づける実験で言えば、より強い磁石を使用するか、磁石を近づけたり離したりするスピードを上げるかすれば、より大きい誘導起電力を生み出す事ができます。